主を仰ぎ見つつ

キリスト教的思索

一日一日死を意識して生きている癌友(がんとも)に乾杯!

<癌友は愛しい>


同じ教会の青年会で親しくしていた私より一回り若い人がふたり、天に召されて行きました。ひとりは膵臓癌で、一人は、リンパ癌の後遺症で亡くなりました。ひとりは、この世に未練を残して、一人は静かにこの世を後にしました。


癌というのは細胞の病気です。細胞は、絶えず再生されます。古い細胞は死に、新しい細胞が生まれるのですが、癌化した細胞は死なないで、どんどん増え続けるのです。


癌は、誰にでもなる病気です。例えば、私の肺癌は、過去の(48年前の)タバコの喫煙による(?)のかも知れませんが、タバコを飲んだことがない、周りに喫煙者がまったくいないという人でも肺癌になります。子宮癌、乳癌など、Gene(遺伝子)の問題だと言われます。ということは、原因がわからないということです。


癌は治らない病気でした。癌が発見されたと言われたら、死の宣告でした。否、今もそうですが、今は癌治療の進展で、患者が生き延びるようになったのです。


<癌は、完全に治癒しない病気です>


癌は再発・転移します。私も肺癌から首に転移しました。癌患者は、見えない癌と付き合いながら生き続けているのです。そういう人たちのことを「Cancer Survivor」(癌生存者)といいます。


「Co-Survivor」(共同生存者)という言葉もあります。この言葉は、癌を病む愛する人の世話をしている人たちを表しているのです。


癌治療というのは、つらい仕事です。癌細胞を(良い細胞も一緒に)殺すのですから。キモ(化学療法)は、3日目から吐き気、下痢、便秘、無気力、食欲不振、などに襲われます。昔は、キモをするくらいなら死んだ方がましだと言われましたが、今は、いろいろな薬で症状を抑えることができるようになりました。


でも、大変です。だから、Co-Survivor が必要なのです。日本では、入院して化学療法をするそうですが、アメリカでは、病院でIVをしたら家に帰されます。だから、アメリカでは、Co-Survivor(共同生存者)が必要なのです。食欲がなく吐き気がしてもがんばって食べなければなりません。体力が勝負ですから、体重を減らさないことです。


<癌友は、コムラッド(同志)>


化学療法の部屋に入ると数人の人がリクライニングチェアに座ってIVを受けています。目があえば “Hi(ハイ)”と言いますが、長話しはしません。髪の毛が抜けて、毛糸の帽子をかぶっている若い人たちを見ると、自分の残っている命を全部あげたくなります。


放射線治療の部屋から出てきて、次に入るために待っている人が居ると、“Good Luck”と心の中で言います。


我々 Cancer Survivor は、みんなで戦っている癌戦の闘士です。同志です。この戦いに勝てるか勝てないかそれはわかりませんが、みんな Winner(勝利者)だと思っています。


私は、あのヤコブがヤボクの渡しで神さまと相撲をとり、神さまが彼を祝福するまで神さまを離さなかったという記事を思い出します。(創世記32章22~30節)


人は、死を意識する時、「生きる」ということがくっきりと見えてくるようです。そして、神さまを見上げるようになれば(そのうちに)すべてのことに感謝することができるようになります。


文責: ロバート イー

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