主を仰ぎ見つつ

キリスト教的思索

祖父から孫への贈り物の謎

<孫からインタビューされました>


アメリカの小学校2年生の孫の学校の宿題(プロジェクト)で移民してきた人をインタビューするというのがあって、私がインタビューされました。いろいろな質問に答えたのですが、その質問中に、「アメリカに来た時、何か先祖代々につたわるものを持ってきたか?」「もしあったら、どんなものか?」というのがありました。


私は、韓国国籍だったので、大学卒業後に就職ができず、アメリカで勉強して日本の戻ろうとしました。それで、大学で知り合った妻と(両方の親の反対を押し切って)結婚して、アメリカに留学してきたのです。ですから、大したものは何も持ってきませんでした。


で、「何もない」と答えようとしたのですが、父がアメリカに留学した時に祖父から貰ったというPocket Watch(懐中時計)がありましたので、それを孫に見せました。




<父が祖父にもらったのは金時計でした>


父は、16才の時、韓国で祖父と親しくしていた宣教師がアメリカに帰る時に誘われて一緒に渡米したのです。1923年(98年前)の話です。その後、父は、UCバークレー大学(当時のカリフォルニア州の唯一の州立大学で、UCLAは、まだバークレーのExtension(分校)だった頃)の農業科を1932年に卒業し、プリンストンの神学部を中退して韓国に帰ったそうです。




祖父が父に手渡したこの時計は、父が緊急の時にお金に替えることができるようにと祖父が与えたもので、元々は金時計だったそうです。それで、父は、その金のケースを売って、銀時計にしたと聞いていました。


今日、その裏側を開けてみると「Waltham, Mass」と書いてあったのです。ということは、この時計がアメリカ製で、マサチューセッツ州で作られたものだということになります。





動く部品にルビーなどの宝石が使われている精巧な器機です。今でも正確に動いています。


当時、韓国で高価なものは皆イギリス製だと聞いていました。イギリスが世界を制覇していた時期です。母のダイヤの婚約指輪もイギリスに特注したものです。だから、私は、父がもらったこの時計(元金時計)もイギリス製だろうと思っていました。でも、これがWaltham Watch 製だとすると、アメリカで作られたものということになります。



当時のWaltham Watch Companyは、なかなかの精密機械工場だったようですね。


これがもともとのオリジナルだとしたら、祖父がアメリカ製の時計を父にあげたことになります。それなら確かにケースを(金から銀に)取りかえることは容易だったことでしょう。この時計のシリアル番号、2060247をたどれば、かつて韓国に渡ったものかどうかもわかるはずです。


いずれにしても、古いものなのに、今でもしっかり時を刻んでいるのがすごいのです。まるで新品のようなのです。


<孫にあげました>


この時計をのぞき込んでいる孫に「Do you want it?」と訊いたら、「Yes」というのであげることにしました。今はとりあえず、彼の父(婿)に渡しましたが、マサチューセッツ州は、婿が生まれ育ったところです。


ふと思ったことは、この時計が、祖父から父へ、そして、私から孫へと5世代に渡って動き続けているということです。ゼンマイを巻きさえすれば、動いてくれるのです。


『3:1 天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。3:2 生るるに時があり、死ぬるに時があり、・・・3:8 愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある。・・・3:10 わたしは神が人の子らに与えて、ほねおらせられる仕事を見た。 3:11 神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終りまで見きわめることはできない。』(伝道の書3章1~11節、抜粋)


神さまは、私たちに“時”を与えられました。孫たちも与えられた“その時”を大切に有意義に生きてくれたらいいなと思います。


文責:  ロバート イー

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