主を仰ぎ見つつ

キリスト教的思索

カール・ローヴという人の勇気ある諫言(かんげん)に感動させられました


<1月6日の暴動の記念日にあたって>


1月5日付けで、カール・ローヴという共和党の人がウオール・ストリート・ジャーナル紙に「共和党の1月6日の責任:共和党には、この暴動を暴動と認めない人を弾劾する義務がある」という記事を出しました。これは、共和党だけでなく民主党にも反省を求める“進言”ですが、共和党員に対する強い”𠮟責”とも言えるものでした。


その英文を訳し、翻訳の専門家である峯岸麻子氏にも見てもらいました。長いので、その全文はこのブログの最後に添付しました。


<カール・ローヴという人物>


カール・ローブという人は、狡猾で無慈悲な政治家と見做されていました。ウキペディから引用しますと、『カール・クリスチャン・ローヴ(Karl Christian Rove、1950年12月25日 - )は、アメリカ合衆国の政治コンサルタント。ジョージ・W・ブッシュ政権において次席補佐官、大統領政策・戦略担当上級顧問を務めた。ホワイトハウスにおいて数々の役職を兼ねていたことやその権力の強さから、ディック・チェイニーとともに「影の大統領」、或いは「カール国王」などと呼ばれていた。CIA職員の身分漏洩疑惑やホワイトハウスの司法省人事介入に対し捜査が行われていたが、大統領令により打ち切られた。』とあります。


こういう人が、自分を政治家として育ててくれたその共和党の人たちを諫(いさ)めているのです。「党ではない国のことを考えなさい」と言っているのです。


もし、仮に2016年の大統領選挙で、トランプがヒラリー・クリントンにわずかの差で勝った州(ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州)で不正があったと民主党の人たちが騒ぎ、ヒラリーの支持者たちが、国会議事堂になだれ込んだとしたら、あなたがた共和党の人たちはどう思っただろうかと懇切丁寧に説いているのです。


2000年の大統領選挙では、ジョージ・ブッシュ(2代目)とアル・ゴア(クリントン政権時の副大統領)が争ったのですが、フロリダ州の選挙の結果が2転3転して、最高裁まで巻き込んで大変でした。最終的にアル・ゴアが自ら下りるという形で、ジョージ・ブッシュが43代目の大統領になったのでした。この時、カール・ローヴは、ジョージ・ブッシュの傍らでテレビを見つめていたのです。


<愛国者とは政党でなく国を愛する人だ>


事業家はお金をあつめますが、政治家は権力を求めます。その権力のためには(平気で)人をも殺します。私の父は政治家で、朝鮮戦争時に李承晩大統領の命で(家族ごと)日本に行くことになり、李承晩が失脚した時に再度韓国の戻ることになっていたのですが、朴正煕のクーデターでその夢が破れたのでした。


クーデターというのは、武力で政権を奪うことです。もし、その時、父がちょうどそこ居合わせていたら、父の友人家族のように殺されていたかもしれません。政治というのは時には、悲惨なものです。


そういう権力のために暗躍したカール・ローヴが「共和党じゃないよ。私たちの国、アメリカを愛しなさい」と語っているのです。“カール・ローヴさんどうしたの?”と怪しむほどです。自民党の人が「自民党じゃなく、日本のことを考えましょうよ。」と言うようなものです。そんなこと、考えられますか?


彼の心を読むことはできませんが、彼は、あの頃の彼ではないのです。


息子に、彼の記事を送り 「I was wrong, he was a decent man」(私は間違っていた。彼は、立派な人だった)と書いたら、「Thank you Dad. I appreciate it very much」(ありがとう。これはすごく良い文だったね)と返事がありました。


このカール・ローヴの文章のなかに、私は、“アメリカの精神”を見ることができます。アメリカの政治家がその基本に立ち戻ることができますように、神の祝福がありますようにと祈るものです。


文責: ロバート イー


(ウオール・ストリート・ジャーナルのカール・ローヴの全文の翻訳を下記に添付しました。)


共和党の責任:GOP(共和党)には、この暴動を暴動と認めない人々を弾劾する義務がある。by Karl Rove}2022年1月5日6:15pm ET The Wall Street Journal


『私たちは今厳しい分派分裂の時期にあり、その状態がいまだ引きつがれています。分派分裂の当事者たちは、政敵に対して過度に非難するという罪を犯しあっています。


これまで、私はしばしば民主党員に向けて批判してきましたが、この1月6日の記念日にあたって私は、共和党員たちに率直な意見を述べたいと思っています。それは、国会議事堂を襲撃し、選挙人団の結果を受け取った議会を混乱させ、乱暴に選挙結果を覆そうとした暴動者の行動を1年もの間容認してきたということです。


国会議事堂への暴挙を擁護する人々は、襲撃者たちが無垢な愛国者であり、観光客のように首府を訪れ、代議士たちに平和裏に陳情に来ただけだと言います。そのように、無害で普通のアメリカ人が政治犯として訴えられているのだと、私たちは聞かされています。


仮に、一年前に国会議事堂に行った何千人もの人が、“選挙が盗まれた”と間違って主張したのだとしましょう。そして、その多くは憲法の修正第一条が定める権利(表現の自由、報道の自由、平和的に集会する権利)を行使して平和的にショッピングモールに集まったようなものであり、暴力的ではなかった。かつて、自由主義者たちがジョージ・W・ブッシュ大統領の就任式に抗議したのと変わらないのだと。


しかし、その数千人の抗議者は、暴力も辞さない勢いで、議会による選挙人票の受領・承認という憲法義務の遂行を妨げようとしたのです。そのような明確な決意でワシントンに行った人たちがいれば、その瞬間の野蛮さに翻弄され、周囲の危険な動機を持つ強い意志に惑わされた人たちもいたでしょう。


そのグループの指導者たちは暴力に訴えることを恐れず、何週間も計画して事に臨んだのです。戦闘的な装備を身につけていた人も数多くいました。化学薬品、旗竿、警棒、棒で武装した人もいました。彼らはバリケードを突破し、約140人の警官を襲撃し、時には警官が持っていた盾や装備を使って暴行におよびました。彼らはドアや窓を壊し、国会議事堂に不法に侵入し、事務所を略奪し、議会の指導者を探し周り、見つけたらただでは済ませないと、ひどい言葉で脅したのです。


これまでに725人以上が起訴され、警察はさらにビデオやSNSに映っている数百人の容疑者を捜索しています。警察官を攻撃しているところを自ら録画していた容疑者もいます。これまで、少なくとも163人が有罪を認め、71人が有罪判決を受けました。 不起訴になった容疑者は1人だけです。より重罪となる裁判の多くは、弁護士の準備や司法取引のため、まだ行われていません。


この記念日を迎えるにあたり、簡単な思考実験をしましょう。もし民主党員がこの日と同じことをしたとしたら?


2017年1月初旬に、今回の共和党支持者たちと同じような服装と武装をした民主党員たちが国会議事堂を襲撃し、2016年の大統領選挙における選挙人団の結果を議会が受け取らないようにしようとしたら、どうなっていたでしょうか。


もし、どこの裁判所でもその事実を立証できないにもかかわらず、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州などのドナルド・トランプが辛勝した州で大規模な不正投票があったので、その結果は認められるものではないと民主党員たちが主張したら?


もし、こうした民主党員たちの一部が国会議事堂の警備を破り、(当時の)共和党議長のポール・ライアンと(当時の)共和党の上院多数党院内総務であるミッチ・マコーネルを暴力で脅したとしたら?


もし、副大統領兼上院議長のジョー・バイデン(当時)が、連邦議会両院合同会議における全権があるのだから、先に述べた接戦州においてはその権限によって民主党の選挙人だけを受け入れて、それによりヒラリー・クリントンが大統領に選出されるべきだと主張したら?


これらのことが起こった場合、私の仲間の共和党員の中に、それを単なる抗議として受け入れる人がいたでしょうか?私たちの国、その法律と憲法に対する暴力行為で起訴された者たちを、私たちは愛国者と呼んだでしょうか?大統領選挙の結果を変えるために取られた法外な手段を、受け入れたでしょうか?


いいえ、そうはしなかった。私はそう確信しています。


もし(2021年)1月6日にトランプ支持者がしたようなことを民主党員がしたならば、共和党員は容赦なく彼らを批判したでしょう。そして、その批判はもっともであると、私は考えます。


共和党員は、暴力を奨励し、その様子を静観していた高官を弾劾したことでしょう。共和党は、この事件の調査を要求し、この暴力の責任者を見つけ出そうとしたことでしょうし、それは、正しいことです。


この2021年1月6日事件を克服する為には、私たちは、党よりも国を優先させなければなりません。


民主党にとってそれが何を意味するかと言えば、その日にワシントンに来たすべての人を無差別に非難し、党派間の分断を悪化させるという民主党指導者の悪習慣に抵抗することです。


私たち共和党は、さらに重い責任を負っています。私は生涯共和党員であり、共和党が何十年にもわたって最高の状態で(国民を)代表してきたと信じています。


でも、現実に起こったことを過少化してはなりません。私たちの民主主義を打倒する試みを計画し、奨励し、支援した人々を決して赦してはならないのです。国を愛するということは、そういうことです。それこそ本当の愛国心なのです。』

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