G. Caccini - "Ave Maria" - Ivana Lazar, soprano

♪ この歌を聴きながら読んでくださったら感謝です ♫  

＜M牧師婦人が癌だと告げられました＞

M牧師夫妻は、日本の神学校を出られて、アメリカに戻られた時、オレンジ郡の宣教教会（信徒の家庭が開かれて開拓伝道がなされていた）に遣わされました。それで、私たちも一緒にその教会の立ち上げに参加したのです。

M牧師婦人は、料理が得意で、大阪出身で味は薄いんですが、美味しいんです。一度私が文句（？）を言ったように受け取られて、いつもそのことを言われます。

彼女とのメールでは、彼女から（冗談に）「大兄」と呼ばれ、私は（年下だけど）“おねえさま”と呼ばせていただいています。

おねえさまは、私の癌治療の為に祈っていてくださる方でした。

M牧師夫妻は、２年前にロサンゼルスの教会を最後に引退して、これから気楽に引退生活を楽しもうという時でしたのに、数日前に癌が発見されたのです。

＜M婦人が腹痛で入院・検査していると報告がありました＞

彼女は、数年前、脳梗塞で倒れた（文字通り、椅子からコロンと転げおちた）のですが、今では（９９．９％）回復されて、皆さんの祈りが聴かれたと喜んでいました。・・・だから、今回も大丈夫だろうと思っていたのです。

腹痛で病院に入院し検査をしていると聞き、どんな状況なのかラインで状況を訊きました。

（M姉）“お祈りに感謝します。今日はCT SCANを撮ってきました。”

（私）“しっかり原因を追究して、完全に治してください。でも、まず痛みをなんとかしないとね。もしかすると胆嚢かもしれない。これは痛いんだ。胆石でなく慢性胆嚢炎は本当の専門医じゃないとわかりません。私はそれで胆嚢をとりました。胆管の問題も考えられます。取ったあと数日痛いです。”（自分の経験から胆嚢じゃないかと勝手に推測している）

（M姉）”Dr.は、今日はLiver（肝臓）とPancreas（膵臓）をしらべるといっていました。でも痛いのは胃なのです。“　

（私)｛嫌な予感がして、少し沈黙した後｝・・・“それ嫌ですね。祈ります。”

（M姉）“ほんとうに嫌です。ガタガタです。主人は、Butler（執事）のように家事、ドライバーと動き回っています。お祈りよろしくお願いします。”

＜嫌な予感があたってしまいました＞

数日後、T牧師から「検査の結果、肝臓癌で肺にも転移しているとのことでした。現在ドクターからは、手術はできないと言われ、その他の治療法を探っているとのことです。どうか最善の治療法が見つかり、癒し主なる主がM婦人を助けてくださいますように、皆さまのお祈りをお願いいたします。」というＥメールがありました。

癌治療はどんどん進んでいます。癌をもちながらでも元気に生きている方たちもいるのです。でも、これは、悲しい報告でした。

ひとりT牧師の報告を見つめながら、不覚にも涙がこぼれました。そして、頭によぎったメロディが、カッチーニのアヴェ・マリアでした。

前回のブログで、福音派は「マリア信仰を認めない」「アヴェ・マリアも聴かない」と書きました。

実は、その時、私はあらためて「アヴェ・マリア」を聴いたのです。・・・福音派が毛嫌いする「アヴェ・マリア」は、１００曲以上あるのです。福音派は、イエスの母マリアを崇拝するのは、偶像礼拝だと言います。

福音派というのは聖書の記述を大切にする（絶対視する）グループを指していて、私もそのひとりです。でも、私は視野を広げたいと思っているのです。

＜何で、カッチーニのアヴェ・マリアなんだろうか＞

１００以上あるというアヴェ・マリアという歌（曲）の中で、有名なのは、シューベルト、グノー/バッハ　そして、カッチーニ（実は、ヴァヴィロフの作だそうですが）が、三大アヴェ・マリアだと言います。何度も比べて聴いて、一番気に入ったのが、カッチーニだったのです。

その歌詞は、アヴェ・マリア、アヴェ・マリア、アヴェ・マリア、アヴェ・マリア、・・・だけなのです。・・・どう祈っていいかわからない、つらい人生の嘆き・悲しみを歌っているようです。

なんで、こんなに悲しく落ち込んでしまうのかと思いました。だって、私たちクリスチャンはどうせ天国で再会するじゃないですか？でも、飛行場で行ってらっしゃいというようにはいかないのです。・・・無限に遠い天の御国に召されていくのです。

御国で再会するその時はさぞかしうれしいだろうと思います。でも、今は去られたら、悲しいんです。寂しいんです。・・・M牧師がかわいそうです。私も嫌です、「大兄」と呼んでくれている人が去るのは・・・もう少し時間をください、とそう祈っています。

皆さんもお祈りください。お願いします。

文責：　ロバート　イー